うべからず。飯殖焚法に飛びつき、観光縮緬の兵児帯を買う人々は、もとより吾人の尊敬しえざるところなれども、また一方には、それらの人々を駆っておのずからここに至らしむる者あるを見ざるべからず。今の階級制度、資本制度、すなわちこれなり。階級制度、資本制度の今の社会においては、実力必ずしも地位を作るゆえんにあらず。勤勉必ずしも富を得る方法にあらず。ここにおいて失望あり、怠惰あり。怠惰と失望とはすなわち僥倖心と羨望心とを呼び起こすゆえんなり。



底本:「日本の名随筆・別巻23・広告」作品社
   1993(平成5)年1月25日第1刷発行
底本の親本:「堺利彦全集 第一巻」法律文化社
   1971(昭和46)年1月
入力:もりみつじゅんじ
校正:渥美浩子
2001年2月1日公開
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