かぬ庭の瀧のおとを獨り聽きつつ戸を閉《さ》しかねつ
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翌日は半日あまりF――さんの部屋で遊びました。そして、眼前の景物を題に一首二首と詠むことになりました。F――さんにも面白いのが出來たのでしたが、惜しい事にはいま思ひ出せません。
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水口につどへる群のくろぐろと泳ぎて鮒《ふな》も水もひかれり
いしたたきあきつ蛙子あそび恍《ほ》け池にうつれる庭石の影
まひおりて石菖のなかにものあさる鶺鴒《いしたたき》の咽喉の黄いろき見たり
庭石のひとつひとつに蜥蜴《とかげ》ゐて這ひあそぶ晝となりにけるかな
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底本:「若山牧水全集 第七卷」雄鷄社
1958(昭和33)年11月30日発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:柴 武志
校正:林 幸雄
2001年6月13日公開
2005年11月14日修正
青空文庫作成ファイル:
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