樹木とその葉
島三題
若山牧水

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)今治《いまはる》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)郷里|日向《ひうが》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)少し※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]つて

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)なか/\立派なものであつた。
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

      その一

 伊豫の今治《いまはる》から尾の道がよひの小さな汽船に乘つて、一時間ほども來たかとおもふ頃、船は岩城島《いはきじま》といふ小さな島に寄つた。港ともいふべき船着場も島相應の小さなものであつたが、それでも帆前船の三艘か五艘、その中に休んでゐた。そして艀《はしけ》から上つた石垣の上にも多少の人だかりがあつた。一寸重い柳行李を持てあましながら、近くの人に、
『M――といふ家はどちらでせう。』
 と訊くと、その人の答へないうちに、
『M――さんに行くので
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