樹木とその葉
草鞋の話旅の話
若山牧水
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)草鞋《わらぢ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]り、
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)廣い/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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私は草鞋《わらぢ》を愛する、あの、枯れた藁《わら》で、柔かにまた巧みに、作られた草鞋を。
あの草鞋を程よく兩足に穿《は》きしめて大地の上に立つと、急に五軆の締まるのを感ずる。身軆の重みをしつかりと地の上に感じ、其處から發した筋肉の動きがまた實に快く四肢五軆に傳はつてゆくのを覺ゆる。
呼吸は安らかに、やがて手足は順序よく動き出す。そして自分の身軆のために動かされた四邊《あたり》の空氣が、いかにも心地よく自分の身軆に觸れて來る。
机上の爲事《しごと》に勞《つか》れた時、世間のいざこざの煩《わづら》はしさに耐へきれなくなつた時、私はよく用もないのに草鞋
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