のような炯炯《けいけい》たる眼を光らかし、激しき息づかいをしながら、部屋の隅からじりじりと寝台の向うに立つ帆村探偵に向って近付いて来るのであった。
雨か嵐か、はた雷鳴か。怪人と侠青年との息詰まるような睨み合いが続いた。
「勝負は貴様の負だッ。こうなれば観念して、潔《いさぎよ》く降参しろッ」
と帆村探偵は烈々たる言葉を投げつけた。
「なにを言やがる」と蠅男は歯を噛みならし、
「手前こそ息の止らねえうちに、念仏でも唱えろッ。今度こそは手前の土手ッ腹を機関銃で蜂の巣のようにしてやるんだッ。それでもまだ助かるとでも思っているのか」
そう云って蠅男はじりじりと前進し、垂れている左腕を静かに挙げて、帆村の胸元目がけて突き出した。それは黒光りのする腕のようでありながら、まるでぎこちない銃身のように見えた。
「ははあ、くくり付けの機関銃とお出でなすったね。そんなインチキ銃に撃たれてたまるものか」
「よオし、これを喰って往生しろッ」
と蠅男の大喝《だいかつ》と共に長い黒マントの肩先がブルブルと痙攣《けいれん》するより早く、ダダダッと耳をつん裂くような激しい銃声!
「うぬッ――」
帆村はさっと寝
前へ
次へ
全254ページ中202ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング