てしもたがな」
そういって、大川司法主任は、新聞紙の上を大きな掌でもってピチャピチャと叩いた。
帆村は、それには相手になろうともせず、室の中を指《ゆびさ》して、
「どうです。糸子さんは無事ですかネ」と訊いた。
「もちろん大丈夫だすわ。しかし昨夜も、えろう貴方はんのことを心配してだしたぜ。村松はんのことがなかったら二人して貴方はんに奢《おご》って貰わんならんとこや。ハッハッハッ」
大川主任はいい機嫌で哄笑した。
室のなかに入ってみると、糸子はもうすっかり元気を回復していた。ただ、まだ麻酔薬が完全にぬけきらないと見えて、いく分睡そうな顔つきは残っていたが……。
「まあ帆村はん。さっきの夢のつづきやのうて、ほんとの帆村はんが来てくれはったんやなア」
糸子は、けさがた帆村の夢を見ていたらしく、帆村の顔を見て小さい吐息をついた。
糸子があつく礼をいうのを、帆村は気軽に聞きながして、
「さあ、ここでちょっと糸子さんに折入って話をしたいことがあるんです。皆さん、ちょっと遠慮して下さいませんか」
そういう帆村の申し出に、付き添いのお松をはじめ、看護婦や警官たちもゾロゾロと外へ出た。扉がピ
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