が彼の顔は、血の気を失って、まるで死人のように真青であった。
検事は、ブルブル慄《ふる》う指先で室内を指し、
「殺人事件がおこったんだ。ボーイ君。そこらにいる人を大声で呼びあつめるんだ。それから、鴨下ドクトル。すみませんが、どこかそこらの室から電話をかけて、警察へ知らせてくださらんか」
村松は、やっとそれだけのことを云った。ボーイは、扉ごしにチラリと室内を見やった。絨毯《じゅうたん》の上に、大きな人間の身体が血まみれになって倒れているのが明るい電灯の下によく見えた。彼はドキンとして、腹の中から自然に声がとび出した。
「おう、人殺しだッ。皆さん早く来て下さいッ」
引かれゆく殺人検事?
電話で知らせたので、警察からは係官が宙をとんで駈けつけた。
惨劇の室内に入ってみると、そうも広くないこの室は、なまぐさい血の香で噎《むせ》ぶようであった。
塩田先生は、脳天をうち砕かれ、上半身を朱に染めて死んでいた。これが曾《かつ》て、鬼検事正といわれ京浜地方の住民から畏敬されていた塩田律之進の姿なのであろうか。それはあまりにも悲惨な最期だった。
係官の取調べが始まった。
塩田先
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