二、三日は懸るのであろう。
「それから正木さん。ドクトルの娘のカオルさんたちはどうしました。いまの話では行き違いになったらしいが、今どこにいるのですか」
「ああそのことや。実はドクトルからも尋ねられたことやけれど、娘はんとあの上原山治という許婚《いいなずけ》は、ドクトルが居らへんもんやさかい、こっちへ来たついでやいうて、いま九州の方かどっかへ旅行に出とるのんや。帰りにきっと本署へ寄るという約束をしたんやさかい、そのうち寄るやろ思うてるねん」
「ほほう、そうですか」


   大戦慄《だいせんりつ》


 非常警戒の夜は、張り合いのないほど静かに更《ふ》けていった。蠅男はどこにひそんでいるのか、コトリとも音をたてない。ドクトルの騒ぎが、最後の活気であるかのように思われた。
 この調子なら、蠅男もこの一画に閉じこめられたまま、あの殺人宣言はむなしく空文《くうぶん》に終ってしまうことかと思われた。
 正木署長が呼ばれて、交番の方へ歩いていった。
 しばらくして、署長はトコトコと元の位置へ帰ってきた。
「どうかしましたかネ」
 帆村は退屈さも半分手つだって、署長に声をかけた。
「いや、行きちが
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