ながら、
「フーム、実に興味|津々《しんしん》たる人物だ」
と歎息《たんそく》した。
そして正木署長の方を向いて、鴨下ドクトルが帰館して、あの暖炉《だんろ》のなかの屍体のことをどういったか、それからまたドクトルは何処に行っていたのかなどという予《かね》て彼の知りたいと思っていたことを訊《き》いてみた。
それに対して署長は苦笑《にがわら》いをしながら、イヤどうも万事あの調子なので、訊問《じんもん》に手古《てこ》ずったがと前置きして、次のように説明した。
すなわちドクトルは、急に思いたって東京に行っていたのだそうである。そして十二月一日から五日まで、上野の科学博物館へ日参して博物の標本をたんねんに見てきたそうである。宿は下谷区《したやく》初音町《はつねちょう》の知人の家に泊っていたという。
それから暖炉のなかの屍体は、一向心あたりがないという。これはお前たちの警戒が下手くそのせいだとプンプン怒っていたとのことである。
ドクトルのいったことが正に本当かどうか、それは上申して目下取調べを警視庁に依頼してあるということだった。
帆村は早くその報告が知りたいものだと思った。しかしまだ
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