もうすこしで解けるのだが……。これを見給え」
帆村は次のような紙片を私に見せた。
[#ここから3字下げ、19字詰め、罫囲み]
ム[#「ム」に丸傍点]サオオニサ」マ[#「マ」に丸傍点]ワイ」ム[#「ム」に丸傍点]サワトソネノタシ」マ[#「マ」に丸傍点]ダノイナイ」ム[#「ム」に丸傍点]ダマオオソ」マ[#「マ」に丸傍点]ラア」
[#ここで字下げ終わり]
「これは例の文句を逆さに書いたのだよ。そして、或る間隔をとって、ム[#「ム」に丸傍点]とマ[#「マ」に丸傍点]とが入れ違いになっているところに注意してみたまえ。答はこれしかないと思うのだ、ム[#「ム」に丸傍点]とマ[#「マ」に丸傍点]のところで金庫のダイヤルの廻転方向を右と左とに変えるのだ。だからム[#「ム」に丸傍点]とマ[#「マ」に丸傍点]とが、丁度頃合いの間隔を保って互に入れ違いになっているのだ」
「ほほう」私は帆村の熱心さに駭かされた。
「だが忌々《いまいま》しい畜生! ここまで判っているのに、実際やってみると、巨人金庫はびくりとも動かないのだ」と帆村は唇を噛んで「全くこれ以上の答はないと思う。それだのに開かないとは、ああ、どこが間
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