球自由航路というのは、地球が同じオービットに従って太陽の周囲を公転しなくてもいいことになるのだ。地球は宇宙のうちならどこへでも、恰度《ちょうど》円タクを操《あやつ》るように、思うところへ動いてゆけるようになるだろう」
「まア!」
「その途中で、地球に愛想《あいそ》をつかした奴は、近づく他の遊星へ、どんどん移住してゆく」
「他の遊星に、また人間がいて、喰《く》いつきやしませんか」
「一応それは心配だ。だが吾輩《わがはい》の説によると、まず大丈夫と思う。第一に、地球へ他の遊星から来る電磁波《でんじは》を、十年この方、世界の学者が研究しているが、その中には符号《ふごう》らしいものが一つも発見せられない。これは地球がどこからも呼びかけられていない証明になる。然《しか》るに、わが地球からは、今日既にヘビサイド・ケネリーの電離層を透過《とうか》して、宇宙の奥深く撒《ま》きちらしている符号は日々非常に多い、短波の或るもの、それから超短波、極超短波の通信は地球内を目的としているが、地球外へも洩《も》れている。これから考えても、地球の人類が、一番高等な生物だということが判る」
「あたしにも判りますワ」

前へ 次へ
全11ページ中7ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング