連れてゆくから、ちょっと圧《お》してみてくれないか」
 と帆村は首領を椅子のところへ連れてゆき、
「さあ、まず右の眼を圧してみてくれ給え」
「いやだ。乃公《おれ》は圧さない」
「圧さなければ、貴様こそ地獄へゆかせてやるぞ。この短刀の切れ味を知らせてやろう」
「待て。では圧そう」
「どうせ圧すなら、早くすればいいのに……」
 全く主客は逆になった。――首領は渋々指をさしのべて、釦をギュッと圧した。その途端にジージーガチャリガチャリと機械の動き出す音が聞えだした、と思うと正面の鉄壁が真中から二つに割れ、静かに静かに左右へ開いていった。そしてその後から何ということだろう、竪横《たてよこ》五メートルほどの大壁画が現れたがそれは毒々しい極彩色の密画で、画面には百花というか千花というか凡《およ》そありとあらゆる美しい花がべた[#「べた」に傍点]一面に描き散らしてあった。
 万花画譜《ばんかがふ》! 密偵の巣窟に、この似つかわしからぬ図柄は一体どんな秘密を蔵《かく》しているのであろうか。


   呪いの極東


 灰色の敵の巣窟に、これは又あまりにも似つかぬ極彩色の大図譜!
 英才をもって聞えた帆
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