、命ぜられているものではない。おそれおおくも、皇軍の高度機械化を一日も速《すみや》かに達成するため、特に地下戦車の設計製作の重責《じゅうせき》をお前が担《にな》っているのである。お前は、それを忘れてはならぬ。一日も速かに地下戦車が欲しいこの時局に、多大の物資を使って、而《しか》もついに失敗したということは、もちろん感心できないことである。しかしながら、失敗を失敗として、そのまま終らせてはならぬ。失敗はすなわち、かがやかしい成功への一種の発条《はつじょう》であると思い、このたびの失敗に奮起して、次回には、更にりっぱな地下戦車を作り出せ。そのときこそ、今日の不面目《ふめんぼく》がつぐなわれ、それと同時に、皇軍の機械化兵力が大きな飛躍をするのだ。泣いているときじゃない。失敗を発条として、つよくはねかえせ。どうだ、わしのいうことがわかるか」
 加瀬谷少佐のことばには、無限の慈愛《じあい》が言外《げんがい》にあふれていた。
「は、はい」
 岡部伍長は、感激のあまり、腸《はらわた》が千切《ちぎ》れそうであった。
 感激は、岡部伍長一人のものではなかった。彼と一緒に、その地下戦車にのりこんでいた工藤
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