っているように思うんだが……」
「私にも二人の関係がハッキリしない」と河口警部が云った。「麻雀ガールにちょいと訊《き》いてみましょう」
 豊乃が呼び出されて、例の仲間について知っていることを全部のべよと命令された。それは大体、帆村が前に述べたところと大差はなかったが、その外《ほか》にこんなことを云った。
「松山さんは、みどりさんのお家に沢山の補助をしているんですって。それは何でも松山さんのところへ、みどりさんがお嫁にゆくという話合いが、松山さんとみどりさんのお父様の間についているそうです。しかし、みどりさんは松山さんが余り好きではないらしいのです」
「じゃ、みどりさんは、誰が好きなんだね」
 と河口警部が尋ずねた。
「さあ、それは……」と彼女は明かに当惑《とうわく》している様子で口籠《くちごも》ったが、「誰なんですか、よく存じません」と答えた。
 帆村探偵は、豊乃が口籠《くちごも》った事情に見当がつくように思った。彼女はみどりが豊乃と同じく星尾助教授に多分の好意をよせていることを知っているのであろう。
「その話は誰から訊いたのかい」と検事が口を出した。
「園部さんがそう云いました。園部
前へ 次へ
全38ページ中20ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング