不思議なる空間断層
海野十三
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)捷径《はやみち》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)昔|識《し》りあった
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+毟」、第4水準2−78−12]
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友人の友枝八郎は、ちょっと風変りな人物である。どんなに彼が風変りであるか、それを知るには、彼が私によく聞かせる夢の話を御紹介するのが捷径《はやみち》であろう。
かれ友枝は、好んで夢の話をした。彼が見る夢は、たいへん奇妙でもあり、そして随分しっかりした内容をもっていて、あまり夢を見ることのない私などにとっては、美しくもあれば、ときにはまた薄気味わるく感ずることもあるのだ。(乃公《おれ》は夢で、同じ町を幾度となく見る)と、彼は空ろな眼をギロリと動かしていうのであった。(……ああ、いつか来た町へまた出たよ、とそう感付くのだよ。すると、夢の中だけで知り合いになったいろいろな顔の人物が、あとからあとへと現われてくるの
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