氷河期の怪人
海野十三

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)ヒマラヤ越《ご》え

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)団長|木谷博士《きたにはかせ》
−−

   ヒマラヤ越《ご》え


 このふしぎな物語は旅客機ヤヨイ号が、ヒマラヤ山脈中に不時着《ふじちゃく》した(?)事件から、はしなくも、くりひろげられる。
 このヤヨイ号には、ある特別な用事をおびて、ヨーロッパへわたる特使団《とくしだん》の一行がのっていた。道彦《みちひこ》少年も、その中に加わっていた。彼は、団長|木谷博士《きたにはかせ》の小さい秘書だった。
 世界地図をひろげてみるとわかるが、日本からヨーロッパへとぶには、どうしても、ヒマラヤ山脈にぶつかるのであった。ヤヨイ号は、仏領《ふつりょう》インドシナ某地点で、多量のガソリンやオイルを積みこんでから、ふわりと空へまいあがったのであった。
 インドの上をとぶことができれば、都合《つごう》がよかったのであるが、あいにく気象状態がよくないので、この国の上へは、なるべくとばない方がよかった。だから針路をインドの北どなりにとり、まる
次へ
全17ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング