原子についで簡単な構造をしているものでありまして、中心の核は四個の陽電気と二個の陰電気とがかたまったもので、その核のまわりを二個の陰電気が廻転しているのとおなじことです。ヘリウム原子の重さは四に相当しますが、ここに不思議な事実があるのです。
 水素原子が陽陰一対の電気でできているし、ヘリウム原子は数えあげるとちょうど陰陽電気四対からできあがっていますから、ヘリウムは水素原子の四倍の重さがなければならないわけです。
 ところが水素原子の重さである一・〇〇八を四倍しますと四・〇三二となってヘリウム原子の本当の重さ四よりは〇・〇三二だけ重いことになります。これはいったいどうしたわけで等しくならないのかということを考えてみました結果、水素原子のように陽陰電気が単独に動いている場合とはちがってヘリウムの核のように、核のなかに四個の陽電気と二個の陰電気とがいっしょにかたまらなければならなかったときには、その重さが減るということがわかったのです。つまり四個の水素原子が一個のヘリウム原子になると〇・〇三二だけ軽くなるのです。
 〇・〇三二だけ軽くなって、その重さに相当するものはどんな形に消滅してしまう
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