ちは勝手なことばかりしゃべっている。――杉田のとじた二つの瞼の間から、どっと涙が湧いてきて、頬の上をころころと走りだした。
 彼は、はりさけるような思いをじっとこらえた。が、あふれ出る口惜し涙はどうすることも出来なかった。
 彼は、生きて恥ずかしめを受けるより、舌を噛んで死んでしまいたかったのだ。
 しかし彼は死ぬわけにゆかなかった。彼は川上機関大尉から別れ際にいい渡された言葉にそむくことが出来なかった。
(決して死んじゃならぬ。お前が捕まっても、きっと救いにいってやる。死ぬではないぞ)
 杉田は、その命令をかたく守って、我慢しているのだった。その苦しさは、また格別だ。死ぬことの方が、生きるよりはるかに楽なことを、杉田はつくづくと感じた。
 そこへ扉《ドア》があいて、リット少将がハバノフ氏をしたがえて入ってきた。
 ドクトルをはじめ、室内にいた一同はすっくと立って、うやうやしく敬礼をした。
「どうじゃね。日本の水兵は、連《つれ》のことを白状したか」
「いえ、何にも返事をしませぬ。医者には、こういう訊問は得意でありません」
 とドクトルは頭《かぶり》をふった。
 すると隅にいたヨコハマ・
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