た牛や豚の置場じゃないか」
 奥に寝ていた杉田二等水兵は、ここがそんな場所だとはまだ気がつかない。あたりには累々《るいるい》と、殺された家畜の首がない体が横たわっているのであった。
 突然だだだーんと、ピストルが鳴った。
 杉田はあっと叫ぼうとした声を、のどの奥にのみこんだ。
(とうとう見つかったか)と思った時、
「誰もいやしないよ。いればいまのピストルの音におどろいて、跳ねだしてくる筈だ」
「さあ、先へ急ごうぜ」
 乱暴な捜索があったものである。ピストルを放って何の手ごたえもないところから、一行は安心してそこを出ていった。
 二人は、ほっと吐息をついた。
 しばらくしてから、川上機関大尉は隅からのっそり立ちあがって、杉田二等水兵の寝ているところへやってきた。
「おい杉田。大丈夫か」
「はっ、私は大丈夫であります。機関大尉はいかがでありますか」
「なあに、どこもやられはしない。ときに杉田。俺は時間が来たから、ちょっと外へ出て、艦隊へ無電をうってくる。俺がかえってくるまでそこにじっと寝ているのだぞ。ここはちょっと普通の人間には踏みこめないところだから、安全な場所だ」
 杉田はすこし心細く
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