びだした。
「おお、飛行機の出動だ。いまごろ何事が起ったというのか」
川上機関大尉は、つぎつぎに起る不審な出来事に、小首をかしげたが、そのとき後にあたって、わーっという喊声《かんせい》が聞え、それと同時に、ぴゅーんと一発の弾丸が頭の上をかすめてすぎた。
「見つかったらしい。よし、こんなところで撃たれてはならぬ。もう一息だ」
川上機関大尉は、残りの階段を一気にかけおりた。また一台の飛行機が、爆音高く飛行甲板の上を走り去るのが聞えた。
このとき川上機関大尉の頭の中にすばらしい考えが、電光のように閃いた。
天の与《あたえ》
「そうだ。千載一遇の機会が向こうからやってきたのだ。これも神様の助であろう」
川上機関大尉は、ちょっと眼を閉じて、黙祷した。そして次の瞬間には、大尉ははや日本刀を片手にさげ、飛行甲板を匐《は》うように駈けだした。
彼の眼は、飛行機の出発点にそそがれている。そこには、微かな灯火が光っていた。下からエレベーターが飛行機をのせて上ってくる。四五台の飛行機が翼をすれすれに、ごたごたしているのが見える。大勢の整備員が、その間を入りみだれて走っている。エンジン
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