ると、赤、青、黄、いろとりどりの標識灯が、飛行島の艦形をあらわしている。
護衛の飛行隊は、ずっと前方に出ていっているようだ。
両舷の彼方には、駆逐艦の灯火が見える。天候のせいか、それとも飛行島のあおりをくってか、駆逐艦は大分動揺しているようだ。
囂々《ごうごう》たる機械音が、闇と海面とを圧していた。
飛行島の警衛は、完全のようであった。
いまは試運転中ではあるけれど、このような大袈裟な陣形が、やがて飛行島の渡洋攻撃のときにも採用されるのではなかろうか。
リット少将は、艦隊司令官になったような気で、大得意であった。
その時、副官が、リット少将の背後に近づいて声をかけた。
「閣下、警備飛行団長から、祝電がまいりました」
「ほう、祝電が」
「飛行島の竣工と、無事なる試運転を祝す――というのであります」
「無事なる試運転か。そうじゃ、この分なら試運転もまず無事に終りそうじゃな」
その通りであった。いま試運転が終ろうというのに、ただの一回も、非常警報の警笛をきかない。彼の重任は、紙を一枚一枚めくりとるように、軽くなってくるのであった。このかたい護衛の網を破って、うかがい寄る曲者が
前へ
次へ
全258ページ中183ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング