何をいわれてきたのであろうか。
 川上機関大尉は、相変らずフランクを嘲笑するようにおちつきはらって、エンジンの操作をつづけるのであった。ああ、それにしても何という奇妙な事実であろう。彼はフランク大尉のピストルの監視下にあって、敵国のために最も重大な役わりを懸命に果しているのであった。


   試運転成功


 こちらは司令塔の中である。リット少将は一分も隙のない軍装に身をかため、すこぶる満悦の面持であった。
「副官、すばらしいのう。飛行島は設計以上の出来ばえじゃ」
 飛行島建設団首脳部は、いつの間にやら、大航空母艦飛行島司令官および幕僚となっていた。
「リット閣下のおっしゃるとおりです。この上は、飛行島の威力をひた隠しに隠して、他日○○国と戦いをまじえますときに、敵の度肝を奪ってやりたいものですね」
 副官はそういって、やがて○○国攻略の海戦に、この飛行島を参加させ、○○湾付近で大手柄をたてるであろうところを想像して、にやりとほくそ笑んだ。
「そうです、そのことです。飛行島の秘密をあくまで隠しおおすことですが――」
 と、突然口をはさんだ青年士官があった。それは外ならぬリット少将お気
前へ 次へ
全258ページ中179ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング