とのえ、「鋼鉄の宮殿」の階上を占める司令塔から、じっと外の様子を眺めていた。


   無線室の怪


「リット団長閣下、飛行島の主要部は、すっかり灯火管制下にあります」
 と、担任士官が報告をすると、少将はにこりともせず、窓の外を指さし、
「あれが完全管制だとは、なんという情ないことだ」と、檣《マスト》の上などにまだ消しのこされた灯火を指さした。
「わしは目が見えないことはないぞ。いいから配電盤のところで、電灯線へ流れこむ電流は全部切ってしまえ」
「はっ、だが、それは危険であります。閣下」
 と担任士官は、顔色をかえてリット少将の言葉をさえぎった。
「なんじゃ、危険じゃと? 一たいなにが危険なのじゃ」
 リット少将はけわしくいいかえした。
「つまりその、そうやれば灯火管制の方は完全でありましょうが、要所要所を固めている者達の活動が出来なくなるばかりでなく、悪性の労働者が、暗闇を幸い、どんな悪いことをはじめるかわかりません。私の心配なのは、この点であります」
「ばか奴!」とリット少将は、あらあらしく叱りとばした。
「それが灯火管制の最中に、責任ある者のいうことか。なんでもよい。敵機に、
前へ 次へ
全258ページ中111ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング