。二人の看護婦がその手押車について、甲板へと出た。それからエレベーターによって、何階か下に下っていった。
「俺をどうするつもりだ」
 と杉田二等水兵は叫んだ。
 すると、待っていましたとばかりに、ヨコハマ・ジャックが寄ってきて、看護婦のとめるのもきかず、杉田の肩をこづいた。
「さあ、とうとうものをいったな。貴様は勝手な奴だ。だがいい気味だ。いまびっくりするものを見せてやるぞ」
「びっくりするものって何だ!」
「うふん、驚くな、いいか。貴様が杖とも柱とも頼む川上機関大尉の死体だ」
「ええっ、な、な、何だって?」
「あっはっはっ、いよいよ貴様も、木から落ちた猿と同じことになったよ。ざまをみろ」
 ジャックは憎々しげにいい放った。杉田二等水兵は腸《はらわた》を断たれる思《おもい》であった。ああ、わが川上機関大尉も遂に悲壮な最期をとげられたか、――車は、観念の眼《まなこ》をとじた杉田をのせていよいよ現場についた。
 するとリット少将から意をふくめられたジャックが、杉田のそばへよってきて、
「さあ杉田水兵、ここにころがっている死体を見ろ。お前の上官だ。川上機関大尉だ」
 と、杉田の肩をつついた。
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