バスの車体をつりあげました。そしてその車体を、豆潜水艇のうえに、すっぽりかぶせてしまったのです。
つまり、そのバスは、ちょっとみると、本物のバスのようですが、じつは、車がついていないもので、いわば箱の蓋ばかりのようなものでありました。
豆潜水艇は、外から見ると、まるでバスのようなかたちになりました。
そのうちに、別のトラックが、ぎりぎりと鎖をくりだして、豆潜水艇を、トラックのうえに引きあげました。これはただのトラックではなく、軍隊でよく使っている牽引車《けんいんしゃ》というものと同じで、すばらしい力を出すものでありました。
「よかろう。いそいで、出発しろ」
タムソン部長が命令をくだしたので、豆潜水艇を、バスの車体の中にかくしてつみこんだトラックは、そのまま走りだしました。そしてやみの中にかくれると、どこともなくいってしまいました。
さあ、たいへんなことになりました。毒ガスにみまわれた青木学士と春夫少年は、どうなったでしょうか。そして、豆潜水艇は、どこへもっていかれたのでしょうか。
警戒の目
豆潜水艇をつんだトラックは、いま国道をどんどん西の方へ走っていきます。
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