なんて、この時局がら、きつい手がらだ。あとでうんと懸賞金が下るだろうぜ」
「その懸賞金が、目あてさ。その金がはいれば、おれは飛行機工場をたてるつもりさ」
「はははは、もう金のつかいみちまで、考えてあるのか。手まわしのいいことだ、はははは」


   あぶない荷あげ


「さあ、その大したえものを、こっちの船へ起重機《きじゅうき》でつりあげるから、お前たち、下にいて、ぬかるなよ」
「おい来た。大丈夫だい。まずこのバスがめんどうだから、そら、みんな手をかせ。こいつを海の中へ、たたきこんでしまうんだ」
「よし、みんな手をかせ」
「うんとこ、よいしょ」
 だるま船の中では、豆潜水艇のうえにかぶせてあったバスの車体を、みんなでもちあげました。
 そして、舷のそばまでもっていって、よいしょと海中へなげこみました。大きな水音がすると同時に、船がぐらっとゆれました。
 いきおいあまって、二人ほど、海中へおちこんでしまいました。しかし、いずれも船へおよぎついてきました。
 さあ、それからいよいよ、豆潜水艇を起重機でつりあげる作業です。
 本船からは、起重機の腕が、ぐっとだるま船の上にのびてきました。そし
前へ 次へ
全44ページ中13ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング