おちいっていたのは、ピート一等兵のため、はなはだ幸運であった。
「おれは、へそのおを切ってから、こんなにおどろいたことは、はじめてだぞ。しかし、このように脳みそが、はみだしてしまっては、おどろいたって、もうおそい。えい、しようがない。こうなれば、やけくそだ。じぶんの脳みそを、なめちまえ」
 ひどい奴があったものである。ピート一等兵は、指さきについたものを、口のところへもっていって、舌でぺろぺろなめはじめた。
「やあ、こりゃうまい。いやあ、すてきに、うまいぞ。おれの脳みそは、まるで、おしつぶされた林檎みたいだ」
 といったが、林檎の味がするのも道理である。ピート一等兵は、林檎の袋の中に、頭をつっこんでいたのである。彼は、じぶんの脳みそとばかりおもって、じつは、じぶんのあたまの下におしつぶした林檎を、指さきにとって、一生けんめい、うまいうまいと、なめていたのである。そのことは、やがて彼も、気がついた。なぜならば、指をなめたあとで、手をあたまのところへもっていくうちに、まだつぶれない林檎に手がふれた。
「おやッ、こんなところに、おれの脳みその塊《かたまり》が、落っこってらあ」
 脳みその塊で
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