うが、どれ位の重さだったんですか」
「さあ、どの位の重さでしょうか」と三津子は困惑の表情になったが、やがていった。
「信用して下さるかどうか分りませんが、それはまるでからっぽみたいでございました」
「中で何か音がしなかったですか」
「さあ、気がつきませんでございました」

   お手伝いお末の訊問

 三津子が退場して、次はお手伝いのお末が呼ばれることになった。
 今しがた三津子が証言していった缶詰にまつわる謎は、すぐその場で解きがたいものであっただけに、係官たちはお手伝いお末が次に如何なる証言をして、連立方程式の数を揃えてくれるかと、興味を深くしていた。
 お末こと、本郷末子は、例のとおり黄いろく乾からびた貧弱な顔を前へ突出すようにして、鼠のようにちょこちょこと入って来た。
 帆村はお末を招いて、例の写真を見せ一応説明し、それから訊いた。
「この缶詰の空缶ですがね、あなたはこれをどこで見ましたか」
「あたくしは何にも存じません」
 と、お末ははげしく首を左右に振って、度のつよい近眼鏡の下から、とび出た大きな目玉を光らせた。
「いや、あなたが知らないことはないんです。よく心をしずめて、
前へ 次へ
全157ページ中131ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング