小走りに、すっ飛ぶようにして、廊下を駈けだしていった。
私は出発にのぞみ、三角暗礁記と記された大きな帳面をひろげ、大急ぎで、いま三角暗礁をはなれるに至った事情と、その時刻とを書きこむことを忘れなかった。これは、後からくる者への引継ぎ上、どんなに急いでも、書き残しておく義務があったのである。
ペンを机のうえになげだすと、私はオルガ姫のあとを追って、廊下を走った。それから三分ののち、私たちは又あの狭くるしい魚雷型潜水艇の中に、横たわっていた。
「出発!」
「はい、出発します」
私は寝たまま、プリズム反射鏡をとおし、窓外にうつりゆく洞穴《ほらあな》の景色にさよならをした。クロクロ島が、どういうことになっているのか判らないが、米連艦隊に見つかり、しかもそのすぐそばを漂流しているのだとすれば、救いだすのにとても骨が折れる。下手をやれば、こっちまで艦隊の砲撃目標になって、彼等を一層得意にさせることになろう。だから、三角暗礁も、これが見納めになるかもしれない。
エンジンの音が、高くなった。
艇は三角暗礁をぬけだして、海中をまっしぐらに走りだした。
さあ、いよいよ戦闘開始だ。
赤外線望遠
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