ように洞穴の中へ入った。
 洞穴の中は、真暗であった。
 昼寝をしていた魚が、びっくりして、中から飛び出してきた。
 洞穴は、奥行が、二百メートルばかりもあって、奥はなかなか広くなっている。そこまで入っていくと、自然に継電気《けいでんき》が働いて、洞穴の天井に電灯が点くようになっている。
 艇《ふね》がこの洞穴の広間へ、舳《へさき》を突込んだとき、果して、ぱっと点灯した。そして、そこに、怪奇をきわめた広間の有様が、人の眼を奪う。
 天井は高く、五十メートルばかりもある。
 四囲の岩壁は、青味をおびた黒色をしていて、そのうえに、苔《こけ》や海草が生え、艇が水を動かすものだから、ゆらゆらと揺れる。
 この洞穴は、向うへも抜けられるようになっているが、洞内の海水は澱《よど》んでいて、ほとんど流れがない。
 岩壁には、太いパイプに、蓋をかぶせたようなものが、あちらこちら合計して六つほども、飛び出している。大きいのもあれば、小さいのもある。これは、岩礁の中にある部屋部屋への耐水入口である。
 オルガ姫は、巧みに、艇をこのパイプへ寄せた。
 艇は胴中から、同じようなパイプが、くりだされる。そして、
前へ 次へ
全156ページ中84ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング