りついてから、只今までの間に、なにか異変はなかったか」
 私はそういう質問を発して、姫の返事やいかにと、胸をとどろかせた。
「自記計器のグラフを見ますと、三分間ばかり、はげしい擾乱《じょうらん》状態にあったことが、記録されています」
「なに擾乱状態が……」
 私は、手を伸ばして、自記計器の一つである自記湿度計の中から、グラフの巻紙を引張り出した。なるほど、つい今しがた、三分間に亘って、湿度曲線がはげしく振震《しんしん》していた。
 湿度が、こんなに上下にはげしく震動するなんて、常識上、そんなことが起るはずはなかった。これは、異変と名づけるほかに、説明のしようがない。たしかに、今しがた三分間の異変があったということが、グラフによって確認されたわけである。
「ふーん、やっぱりX大使は、本当にここへやって来たんだな」
 X大使の来訪《らいほう》は、今や疑う余地がなかった。私には、その会見の時間が、三分間どころか、もっともっと永いものに感ぜられたのであった。私の感じでは、すくなくとも三十分はかかったように思う。
 大使の来訪は確認されたが、その他の奇異な現象については、今のところ、私はそれを解
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