、私の惹《ひ》き起したポーランド女の殺害事件についてであった。
 元帥は、私たちの報告を、しずかにうなずきつつ、聞き入っていたが、
「まあ、その辺で、話の筋は分った。いずれにしろ、大東亜共栄圏を侵略しようという敵国の肚《はら》の中が、手にとるように分る。黒馬博士に、とつぜん帰国を願ったのも実はそのためじゃ」
 私は、元帥が、なにか思いちがいをしているのではないかと思った。
「元帥閣下、大東亜共栄圏を侵略しようとする外国があるにしても、只今すぐには、手が出ないのではありませんか」
「なぜじゃ、それは……」
「でも、只今、米連《べいれん》と欧弗同盟《おうふつどうめい》とは、第三次の戦争を起そうとしています。一方は北南アメリカ大陸に陣どり、他方はヨーロッパとアフリカの両大陸を武装し、これから喰うか喰われるかの大戦闘が始まるのではありませんか。ですから、只今、大東亜共栄圏に手を伸ばすにも、その余裕がない筈です。そうではありませんか」
「うん、われわれも、昨日《きのう》までは、そう思っていた。そう信じていたのじゃ。ところが、昨日《きのう》になって、おどろくべき真相が曝露したのじゃ」
 元帥は、沈
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