において、敵がいかにわが黒馬博士を高く評価しているかという証拠になります。博士、今後も、どうぞ御注意のほどを……」
「わかりました」
 私は、田島副官の率直なことばに、好感をもって、それまでの不機嫌を直して、
「私が、早くに、この女は第五列だなと、気がついたから、よかったようなものの、気がつくのが遅ければ、どこへ連れていかれたか分らんですぞ」
「大きに、御説のとおりです。して、その第五列というのは、どこにいますか」
「顛覆している自動車の中を見てください。そこに、運転手もろとも、長くなって伸びているでしょう」
 私が、そういうと、田島大佐は、部下を随《したが》えて、壊れた自動車の中をのぞきこんだ。
「おやッ、マリ子じゃないか」
 大佐は、びっくりしたような声を出した。
「御存知でしたか、その女を……。さだめし、黒表《ブラックリスト》にのっている豪の者なんでしょうね」
 と、私がいえば、大佐は硬い声で、
「いえ、博士。この女は、元帥の秘書のマリ子でありますぞ」
「なに、元帥の秘書のマリ子?」
 私は困惑した。
「そうですか、それにちがいありませんか」
「たしかに、マリ子です。マリ子の顔を
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