を張り、堂々と世界の海をおさえているのは、まことに愉快なことである。
「おお、黒馬博士、お出迎えにまいりました」
 一人の美しい婦人が、私の前に立って、いんぎんに挨拶した。
「やあ、ご苦労です」
「鬼塚元帥が、たいへんお待ちです。どうぞ、お早くこの自動車《くるま》へ……。申しおくれましたが、妾《わたし》は、鬼塚元帥の秘書のマリ子でございます」
「やあ、どうも」
 鬼塚元帥も、このように目のさめるような美しい人造人間を使っていられる――と、私は妙なことを感心した。


   毒|瓦斯《ガス》――スパイの活躍


 私たち三名は、すばらしい流線型の自動車に、乗り込んだ。
 これは完全流線型というやつで、二枚貝の貝殻一つを、うんと縦に引伸し、そして道路の上に伏せた――といったような恰好であった。むかしの人が見たら、まさか、これが自動車だとは、気がつかないであろう。
「元帥閣下は、そんなにお待ちかねの様子でしたか」
「はい、それはもう、たいへんお待ちかねで、潜水洞四十三番へ、たびたび電話をおかけになるというようなわけで……」
「元帥閣下は、なにか、怒っていられる様子は、なかったですか」
「いい
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