早口に喋る。
「六万MC、するとこの間も、ちょっと聴《きこ》えた怪放送だね。――録音器は、廻っているだろうね」
「ええ、始めから廻っています」
「ああ、よろしい。では、五分ほどたって、そっちへいく」
姫は、にっこりとうなずいて、地下室へつづく階段の下り口の方へ、戻っていった。
六万MCの怪放送!
この怪放送をうまくとらえたのは、これで二度目だ。前回は、惜しくも目盛盤《めもりばん》を合わせているうちに、消え去った。いずれそのうちまた放送されるものと思い、このたびは、自動調整に直しておき怪放送が入ると同時に、オルガ姫が活躍するようにしておいたのである。
さて今夜は、録音器が、どんな放送を捕えたであろうか。
私は、階段を下りていった。
オルガ姫は、録音テープを捲きとって、発声装置にかけているところであった。
私は、すぐ始めるように命じた。
モートルが動きだすと、壁の中にはめこんだ高声器から声がとびだした。
「――器械が捕えたものであって、時は西暦一九九九年九月九日十九標準時、発信者は、金星に棲《す》むブブ博士……」
そこまでは、明瞭《めいりょう》にきき取れたが、そのあとが、
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