のである。
「全速力だ。そして、いつものところへつけるのだ。東京港の潜水洞《せんすいどう》へ!」
 艇は、おいおいと速度をあげていった。海流にぶつかり加速度が不意に落ちると、ずきずきと頭痛が始まった。この潜水艇による大渡洋は、なかなか骨が折れる。
 暫《しばら》くいくと、水中聴音器から、気味のわるい振動音が聴えてきた。それは、いけばいくほど激しくなってきた。
「爆雷のようだが……」
 私は、透過式《とうかしき》の電子望遠鏡をひきよせて、はるかに音のする海底を見やった。
「ああ、爆撃だな、すると、あそこは、米連主力艦隊の位置であろう」
 私は、電子望遠鏡を調整して、海面から上を覗いた。
「おう、やっているな。これは、空前の大激戦だ!」
 なんたる壮観《そうかん》! 空中には、何千機とも知れず、さまざまの形をした飛行機が、入り乱れて闘っていた。そのあたり一帯は、無数の小さい雲の塊のようなものがとんでいる。それは、真下にあえいでいる米連主力艦隊が、必死となって撃ちあげている角砲の硝煙であった。
 米連側は、艦載《かんさい》の快速戦闘機をもって、対抗しているらしいが、見たところ、欧弗同盟軍の方
前へ 次へ
全156ページ中130ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング