弁した。
「博士のお気に入らんらしいが、余には、このような権限はない。重ねて、そうお答えするほかない」
“よろしい。そうはっきり云えば、こっちでも、やりようがある。では、貴官は、そのカーテンを揚げて、海を見られるがいいであろう。提督のために、私は、ちょっとした魔術をごらんに入れる。早く見られよ。さもないと、肝腎《かんじん》のいい場面を逸するであろう”
 これを聞いた提督は、ぎくんとしたようであった。彼は強いて平心を装い、カーテンを揚げて窓から外を見た。
“見えるだろう。この旗艦ユーダ号につづく主力艦隊の諸艦が”
 X大使のこえは、意地悪い響をもっている。
“さあ、見たまえ。後続艦オレンジ号が、これからどんなことになるか”
 私は大使の代弁をしながらも、大使が戦艦オレンジ号に対して何をするのかと、好奇心にかられた。
 ピース提督は、今や不安の色をかくす余裕もなく、窓外を注視している。
“さあ今だ。戦艦オレンジ号を見ているがいい”
 X大使は、あざけるようにいった。私もまた、その口調を真似て、ピース提督にぶっつけた。
 その刹那《せつな》であった。
 有り得べからざる奇蹟――提督にとっては
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