至ったのである。この改訂の命名者は、ドレゴ記者と仲よしの隣人である同業の水戸宗一君であった。
一体どうして巨船ゼムリヤ号が発狂したのか、また地球が発狂したのであろうか。率直にいって、この事件の名称はあまりに突拍子であり奇抜すぎて、なんだか本当のことのように思えないのである。ひょっとしたら、それはこれらの命名者であるドレゴ記者と水戸記者の、たちのよくない悪戯《いたずら》かもしれないと、始めはそう思った者もすくなくはなかったのである。
ところが、この事件の内容がだんだんさらけ出されて行くにつれ、その怪奇なる点、桁外《けたはず》れの点、常軌を逸している点などで「発狂事件」と命名するより外に[#「外に」は底本では「外に他に」、6−下段−5]妥当なる名前のつけ方がないことが、誰にも首肯されるに至った。さてこそまことに天下一大事、この事件にまさる大事件は有史五千年このかた記録にも予想にもなかったといえる。前置きはこのくらいに停め、それは一体どんな事件であったかという記述にうつらねばならぬ。それにはこの事件の発見者である記者ドレゴ君を登場せしめることが最も効果的であろう。
ドレゴ記者はオルタ町
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