せんよ。ねえ、分かったでしょう、娘さん」
このことばに、山形警部は、うむとうめいてかえすことばを知らなかった。
うそかまことか
足柄警官は、娘にさんざん手をやいて――彼は山形警部が少女姿になったことを、いくど聞いても信じない。――おりから、ちょうど交替《こうたい》の警官が来たのをさいわい、娘をつれ、出張中の捜査本部のある竹柴村《たけしばむら》へおりていった。
知らせを聞いて、奥から氷室検事《ひむろけんじ》がとびだしてきた。この氷室検事は、X号を捜査《そうさ》する警官隊の隊長だった。
「やあ、氷室検事、私はこんななさけない姿になってしまいました。同情してください」
みじかい少女服を着た女の子が、いきなり検事にとりすがって、顔に似合わぬ男の声を出したので、検事はびっくりして顔色をかえたが、さすがに隊長の任務の重いことを思いだして、落ちつきをすこしとりもどした。
「いいよ、いいよ。ぼくは君に深い同情をしている」
でまかせなことを、氷室検事はのべた。
「えッ、同情していてくださいますか。ありがたいです。氷室検事。あなたのほかにはだれもわしを山形警部だと思ってくれないので
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