けだった。
 少女が逃げたことは、いよいよたしかであった。あのかぼそい身で、このように綱をほどき、それからあの秘密の出入り口の鍵をさがしだして、うまうまと逃げてしまったんだ。なんという、すばしこいやつだろう。
「ああ、そうか。あの娘の頭蓋の中に、警官の脳髄《のうずい》をいれたのが、こっちの手落ちだったな。よほど頭のきく警官らしい」
 それにちがいない。検察庁《けんさつちょう》の特別捜査隊にその人ありと聞こえた、名警部山形だったから。
 少女のからだを持った山形警部は、たいへんなかっこうで、研究所の外にのがれでた。それはやっと夜が明けはなれたばかりの時刻だった。研究所からすこしいったところで、彼は非常線をはっている警官を見つけて、その方へとんでいった。
 その警官は、夜明けとともに、眠気《ねむけ》におそわれ、すこしうつらうつらしているところだった。その鼻先へ、とつぜん裸の少女がとびだして来て、わッと抱きつかれたものだから、その警官は、きもをつぶして、その場に尻餅《しりもち》をついた。
「おお、足柄《あしがら》君。わしは山形警部だが、大至急そのへんの家から、服を借りて来て、わしに着せてくれ
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