でしょう」
「なにが、お嬢さんだ。私は山形警部だ」
 と、その女体の人造人間は怒ったような口調《くちょう》で答えた。


   娘と警部


 さすがの超人間X号も、その日はすっかりくたびれてしまい、ベッドにもぐりこむと、正体もなく深いねむりに落ちこんだ。
 彼は、すこしの心配もなくねむった。というのは、この秘密の最地階のことは外部には知られていないし、またこの最地階からそとへ出ていく出入り口は、彼がしっかり錠《じょう》をおろし、その鍵《かぎ》はだれも気のつかない薬品戸棚《やくひんとだな》の裏にうちつけてある釘《くぎ》へひっかけてあるので、何者もこの最地階から外へ出られないと信じていた。
 ところが、その翌朝七時に彼が目をさましてみると、その秘密の出入り口があいているので、びっくりした。錠は、内がわから鍵がさしこまれたまま、みごとにひらかれてあった。
「しまった。何者のしわざか」
 X号は、おどろくやら、腹をたてるやらで、そこにふたたび錠をかけると、急いで引きかえした。
 彼は、実験室の戸をおして、中へはいった。
「おお、谷博士は、ちゃんといるぞ」
 谷博士は、椅子にしばりつけられたま
前へ 次へ
全194ページ中89ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング