りませんよ」
 その声は、どうやら戸山君らしかった。
「いやいや、まだまだゆだんは禁物《きんもつ》だ。X号は、このうえ何を考えだすか、知れないのだから、なんとかして、あいつをこっぱみじんに粉砕《ふんさい》してしまわないと、どうしても安心はできないよ」
 その声は、たしかに谷博士である。
「ではどうして、あの電臓《でんぞう》をたたきつぶすのです」
 別の機械人間がたずねた。
「あいつを作りだしたのは、ぼくとしても、一生一代の失策だったよ。やはり人間というものは、自分の力の限界をさとるべきだった。生命を作りだすということは、神さまだけのなすことで、人間の力でくわだてることではないんだ。それをやろうと思ったのが、ぼくがこうして苦しむもとになったのだ……。
 いや、今さらそんなことをいっている場合じゃない。X号の電臓は、三千万ボルトの高圧電流で生命を受けたのだから、ちょっとやそっとの方法では、殺すことはできない。ここにいたような、ふつうの電臓なら、実験室の百万ボルトぐらいで動きだした、下等な電臓だから、火焔放射器でのびてしまうけれど、あいつはそんなことではとうていだめだ。たった一つのこされた方法は……」
「それはいったいどうするのです」
「恐ろしい方法だが、いまここではいえない。それよりもまず、一刻も早く、外部に連絡をとろう。山形君、短波放送で、警察に連絡をしてくれたまえ」
「はい」
 一人の機械人間が答えて、短波放送機に近づいた。
 山形――といえば、どこかで聞いたような名ではないか。そうだ。X号によって、娘のからだの中へとじこめられた、山形警部が、あの地下室へあらわれた、怪機械人間の正体だったのである。
 彼は、自分の体がはずかしいので、役所にも出ず、自分の家へひきこもったきりだったが、何度もとのからだにかえしてくれとたのんでも一向にらち[#「らち」に傍点]があかず、そのうちに博士がふしぎなことばかりやりだしたので、いよいよ博士の正体に恐ろしい疑いをいだき、一人の機械人間をばらばらに分解して、その中の機械をとりだし、自分がその中にはいって、機械人間のように見せかけ、この研究所の中へはいりこんで、内部の様子をさぐっていたのである。谷博士や少年たちが、地下十六階から脱出《だっしゅつ》する時も、やはり倉庫にはいっていた、予備の機械人間を分解し、その中にはいって逃げだしたのだっ
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