が、ラウドスピーカーから、研究所の建物中にひびきわたった。もちろん、この研究所の中には、ほかに人間はだれもいないのであるから、この命令はこの研究所ではたらいている機械人間にあてて出されたものである。
 そのうちに、機械人間Z16号から報告があった。X号の部屋のラウドスピーカーから、このようなことばが聞こえて来たのである。
「Z16号報告。実験室から地下工場へ通ずるエレベーターの報告によりますと、ゆうべおそく、五人の子供は、地下十六階へおりたそうであります。ただしその後あがって来た形跡はありません。報告おわり」
「さては、あいつら、わしのあとをば、つけおったな。どうするかおぼえておれ」
 X号は手をふり足をふって、部屋の中をあばれまわっていた。そしてマイクロホンに近づくと、
「地下十六階の全員に命令。五人の少年は、ゆうべそこへおりていったことが判明した。おそらくまだそのままそこに残っているものと思われる。隅《すみ》の隅まで調べだして、わしの前までひきずりだせ」
 このようなおそろしい命令をくだしたのである。
 ところが、地下十六階からは、ぜんぜんなんの報告もなかった。


   地底の闘い


「地下十六階、地下十六階、Q37号はどうしている。Q28号はどうした……」
 X号はマイクロホンに向かって、どなりたてたが、地下十六階からは、ぜんぜん何も聞こえて来ない。
 X号も、さすがに不安になって来たのだ。
「Z27号、おまえはいまどこにいる」
「はい、地下十二階におります」
 ラウドスピーカーから機械人間の声が聞こえた。
「地下十六階から、なんとも返事がないんだが、どうしているのか、おまえ行ってしらべてくれ。ゆうべ、五人の少年が、しのびこんだような形跡があるが、谷博士と連絡をとられたら一大事だからな」
「はい、行ってまいります」
 だがいくら待っても、Z27号からもなんの返事もなかった。
「ええ、なんとたのみがいのないやつらだ。そんなことなら、わしが行くわ」
 X号は、こうして待ってはいられなくなったのであろう。護衛の機械人間五人ばかりをひきつれて、地下十六階へおりて行ったのであった。
 ところが、これでは返事がなかったのも道理《どうり》である。地下十六階は、もともと一番底の階なので、倉庫があるだけで、そこで働いている機械人間の数もすくなかったが、その機械人間が一人のこ
前へ 次へ
全97ページ中74ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング