「一……二……三……」
 博士は、ひらりと宙を飛んで、空中でとんぼがえりをすると、床の上にまっすぐ降り立った。
「ああ、これでやっとせいせいした。たまには電気をかけないと、どうも疲れてやりきれないよ」
 まるで、あんま[#「あんま」に傍点]かマッサージでも、してもらったというように、博士はにやにやと笑って、腕に力こぶを作り、二三度深呼吸をしていたのであった。
「おい、あの五人の少年は、もう寝たかね」
 博士はタオルで、からだの汗をぬぐいながら、機械人間にたずねた。
「はい、もう部屋にかえって寝たと思いますが、見てまいりましょうか」
「きょうはおそいから、もういいよ。しかしあの五人の行動にはちょっとふ[#「ふ」に傍点]におちないところもある。あすからあの部屋に、電臓《でんぞう》をしかけて、その行動をいちいち報告させるようにしてくれ」
「はい。かしこまりました。何にしかけましょうか」
「テーブルか、壁か、そうだ。壁がよかろう。むかしから壁に耳あり、というからな。はっはっは」
 博士は、自分のしゃれ[#「しゃれ」に傍点]が、愉快でたまらないというように、両手をひろげて、大声で笑った。
「おい、着物をくれ」
「はい……」
 機械人間は、そばのテーブルの上においてあった博士の着物をとって渡した。じつにべんりな機械である。人間ならば、こんな真暗闇《まっくらやみ》の中では、何も目に見えないし、一歩も歩けはしないのに、この機械人間は、ちゃんと迷いもせずに、歩いたり、品物を見つけたりするのである。
「サルはどうしている。食物はよく食べているかね」
「はい。どうしておれを、こんな檻《おり》の中へ入れるんだ、などといって、大あばれにあばれておりますが、大丈夫ですよ。くたびれて寝てしまったようです」
 このふしぎな場所では、機械人間ばかりか、ふつうの動物や植物、いや生命を持たない道具までが、動いたり、話したりするのであったから、サルが話をするというのも、けっしてふしぎはないのであるが……。
「では、あすの準備はよろしくたのむ」
「承知しました」
「それでは寝てよろしい」
「お休みなさい」
 機械人間はピョコリと腰をかがめて一礼すると、扉を開けて、廊下へ出て行った。
「さあ、寝る前に、いっぺん、サルにあいさつをしておこうか」
 博士は、ぶきみな笑いを、唇のあたりに浮かべると、実験室の壁の前
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