高級だといつても、解き方の根本に別にかはつたことがあるわけではない。ただむつかしい點は――從つて大いに興味のある點は――どこに手懸りが隱されてゐるか、どこから解き始めたら一番うまく行くかといふところにある。すぐれた寶玉のやうな問題は、このように鍵の隱し場所が極めて意外なところにあり、そしてそれにぶつかつて解くと、あとは全部ががらがらがらと崩れるやうに解けて行くやうなのを指していふのだ。
 それを解きにかかる皆さんは、名探偵の明智小五郎か、シャーロック ホームズか、それともファイロバンズかエラリー クヰーンか、とにかくせいぜい智能をふるはれたい。
 そこで例題の解説にうつる。

【例題六】[#「【例題六】」は底本では「【例題七】」]これは「覆面算」である。いろいろなアルファベットが並んでゐるが、これはもちろん二十六種の文字が並べてあるわけではなく、皆で十種しかない。つまりCMLQTPAINSの十種である。この十種の覆面者のどれが1234567890のどれであるかを、これから推理でもつて探偵しようといふわけである。

      QCN
   ______
CML)QTPAI
    Q
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