の団体が集っていて、なにかしきりに高級な研究をやっているという情報が入った。北極のことなんかどうでもよいという人が多いのだけれど、儂《わし》はそれを聞いてびっくりした。というわけは、昔はこの氷の張りつめた北極地方はほとんど船で乗りきることができないので、交通路として三文の値打もなかった。ところが近年航空機がすばらしい発達をとげてからというものは、なにも氷をわけてゆかなくとも空を飛行機で飛べば、この北極地方を通りぬけられるという見込がついた。しかしこの北極航空にはまだいろいろ問題がある。そういう非常に寒いところでは、エンジンも電池もすっかり働きがわるくなるし、お天気などのこともよく分っていないし、飛行機に使っている金属材料もたいへん折れやすくなるなどという風に、いろいろと困ったことや分らないことがあるのだ。だから飛行機さえ持っていれば、極地をかんたんに飛びこえられると思うのは間違いである。わかるだろうね、丁坊」
「ええ、分りますとも」
「例の国籍不明の団体は、空魔艦によってこの北極にのりこみ、いろいろと研究を始めているらしい。その研究も、なかなか油断のならぬ研究であることは、空魔艦がとき
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