った。丁坊ののっている飛行機も、やはり空魔艦であった。つまり二台編隊で、ゆうゆうと空をとんでいるのである。
 一体どこをとんでいるのだろう。そしてどこへゆくのだろう。
 丁坊は、窓から地上をのぞいてみた。
 見なれない景色がみえた。雪がふっていてまっしろだ。いや、氷山のようなものも見える。空は、いまにも泣きだしそうに灰色であった。
「ずいぶん北の方らしい」
 丁坊は、そのときはまだなんにも分らなかった。氷の山が見えたり雪がいちめんにふっているから、北の方の国だと思ったばかりであった。
 もしそのとき丁坊が、いま窓から下に見える土地が北極にごくちかい寒帯地方だと知ったらどんなにおどろくだろう。
 いや、そんなことにおどろかなくてもいいことになった。もっともっとびっくりすることが向うからやってきた。
 ダダダダダン。ダダダダダン。
 いきなりはげしい機関砲の音であった。びりびりと、機のなかのかべがふるえた。
 びっくりして窓からそとをみると、いつの間にあらわれたのか、上空から戦闘機が身がるにすーっとおりてくるのが見えた。
 一機ではない。二機、三機、四機、五機――みんなで五つか六つある。そ
前へ 次へ
全68ページ中12ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング