「なに、火星人が、この月世界にいたのですか。それは意外だ」
「アシビキ号が、不時着で修理中のところをねらって火星人は一あばれする気だな」
 乗組員たちは、拳《こぶし》を固めて、艇の外をにらんだ。


   斥候隊《せっこうたい》の行方《ゆくえ》


 火星人が、アシビキ号の乗組員に対して、どんな気持をもっているか、それはぜひ早く知りたいことだった。
 だが辻中佐をはじめ、乗組員一同には、今のところ、火星人の気持を知っている者は、只の一人もいなかった。
 しかし二少年を捕虜にしたという話だから、一応これは、火星人が地球人間に対して敵意をもっているものと思って注意をするがいいであろう。そう思った辻中佐は、総員に対して一時噴行艇の修理の中止を命令し、そして火星人に対しての警戒陣をしかせたのであった。
 一同は、それぞれ武器をもって立上った。決死の斥候隊が五隊編成せられ、直ちに噴行艇を出発した。それは二少年と火星人の所在をつきとめるためだった。
 約半数の乗組員は、噴行艇のまわりに立って、警戒の位置についた。
 残りの乗組員は噴行艇の機関部その他に配置せられ、万一の場合には、故障のままでも、と
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