万倍の放射能をもっているといって、世界中をおどろかした。そしてその元素をムビウムと名をつけたのだった。
それを聞いた世界各国の天文学者は、あわてて自分の望遠鏡を、大空に向けた。なるほどムービー氏のいう星はあった。しかしその星の中には、ムビウムなどというすばらしい放射能の物質はいくらさがしてみてもなかった。世界中の天文学者は、ムービー氏のことを悪くいいはじめた。ムービー氏は、自分に対する非難を弁解して、いやたしかにムビウムはあったのである、自分の見たときには、まちがいなくあったのである。しかし今は、自分がその星を見てもムビウムは見あたらない。自分でもふしぎだと思う。だが、はじめに自分が見たときには、たしかにそのすばらしい超放射元素ムビウムがあった。けっして自分はうそつきではない――といった。
これを聞いた或る国の天文学者は、ムービー氏の発見は、あれはあやしいものだ。氏がうそつきでなければ、氏は気が変であろう。われわれは今後、もうあのようなきを変にする元素のことを問題にしないであろうといって、大いにやっつけた。そしてほんとうにその後、誰もムービー氏のいうことを信じなくなり、気の毒にもム
前へ
次へ
全115ページ中75ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング