」
いよいよ噴行艇は、月世界へ向けて、着陸の姿勢をととのえたのであった。
近づく月面
艇長辻中佐は、司令塔より、号令をかけるのにいそがしい。風間三郎少年は、そのそばについていて、ただもう、胸がわくわくするばかりだった。
ああ月! 月の上に上陸するなんて、全くおもいがけないことだ!
「重力装置を徐々に戻せ」
艇長の号令がとびだした。
「重力装置を徐々に戻せ」
信号員が、伝声管の中へ、こえをふきこむ。するとそのこえは、機関部へ伝わって、重力装置が元へ戻されていくのであった。
重力装置を戻すと、どんなことになるであろうか。
「おや、なんだか、身体が急に軽くなった」
風間三郎は、おどろいて口に出していった。身体がふわりと浮き上るような気持になった。それもその筈であった。今までは、地球の上にいるのと同じくらいの重力が、乗組員たちの身体に加えられていたのだ。ところが今、それがしずかに減らされていったのである。重力が減るから、身体が軽くなる道理であった。
「おやおや、これはふしぎだ。重い宇宙服をきているのに、らくに歩けるようになったよ。金属製の宇宙服をきているとは思われな
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